全国初、東京都で「カスハラ防止条例」成立
10月4日、東京都議会において、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」(カスハラ防止条例)が成立しました。
約7割がカスハラを経験
カスタマー・ハラスメント(カスハラ)とは、顧客から労働者に対しておこなわれる著しい迷惑行為のことです。暴行や脅迫を伴う場合はもちろん、過度な要求や暴言なども含まれます。
2022年に連合がおこなった調査では、直近3年間で、カスハラを受けたことがる人は、全体の67.5%に上り、そのうち出勤が憂鬱になるなどの心身の影響を受けた割合は76.4%に上りました。カスハラ防止条例は、こういったカスハラ行為を禁止し、防止を図るもので、労働者の環境改善が期待されます。一方で、罰則規定はないために、実効性に疑問の声も上がっています。
事業主に防止措置を求める
カスハラ防止条例では、顧客等にカスハラ行為を禁止するだけでなく、事業主に対しても、都の実施する防止施策に協力し、カスハラ防止措置を講ずるよう「務める」ことを求めています。違反した場合の罰則等はありません。
この点、パワハラやセクハラについての事業主による防止措置は、法律上の義務として明確に定められており、義務違反の場合は行政指導や過料の対象とされていることとは対照的です。
加速するカスハラ防止の動き
東京都カスハラ防止条例については、2025年4月1日の施行に先立ち、運用のガイドライン等が公表される予定です。詳しい防止の取り組みなどは、ここに盛り込まれる予定です。また、北海道など他の自治体においてもカスハラ防止条例の制定にむけた動きが見られます。
厚生労働省は2022年に「カスタマー・ハラスメント対策企業マニュアル」を公表しており、自治体だけではなく国もカスハラ対策を重要なものとみていることは明らかです。