労働分野におけるゲノム情報取り扱いのQ&Aを公表
厚生労働省は、このほど、ゲノム情報による労働分野での不当な差別を防止するため、Q&A形式にて、ゲノム情報に関する基本的な考え方を示しました。
ゲノム情報とは
ゲノム情報とは、遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体のことで、本人やその家族の将来の健康状態を予測しうるものです。昨今、医療の現場でゲノム情報にもとづく診断や治療が見られるようになりました。そうしたなか、2023年6月にゲノム医療推進法が施行されました。この法律の基本理念の一つが、「ゲノム情報は極めて個人的な情報であるため十分に保護が図られなければならず、ゲノム情報による不当な差別は抑止されねばならない」というものです。冒頭で紹介した厚生労働省のQ&Aは、この基本理念に則ったものとなっています。
労働分野でのゲノム情報の保護
このほど発表された厚生労働省のQ&Aでは、採用選考時、ゲノム情報の提供を求めることは許されないとしています。ただし、「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合」は許されるとしています。また、採用後も、個人情報保護法の観点から提供を求めることはできず、これに従わないからと言って不利益な取り扱いをするのは不適切としています。
ゲノム情報による解雇等の無効
このQ&Aでは、ゲノム情報をもとに解雇することや配置転換を命じること、昇格や昇給に関する不利益な取り扱いをすることは権利の濫用であり無効であるとしています。また、このような不利益な取り扱いを受けた場合の相談窓口も紹介しています。
このように、ゲノム情報にもとづく不当な差別や不利益な取り扱いは明確に禁止されています。雇用管理において、違法な取り扱いが行われないよう注意する必要があるでしょう。