賃金を「デジタル払い」で受け取るには?
デジタル払い解禁の経緯
賃金のデジタル払いとは、銀行口座を介さずに、PayPayなどの「資金移動業者」の口座に賃金を直接振り込む仕組みのことです。
労働基準法では、賃金は現金払いが原則となっていますが、労働者が同意した場合、銀行口座などへの賃金の振り込みが認められてきました。昨年4月からは、キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化のニーズに対応するため、労働者が同意した場合には、厚生労働大臣が指定した資金移動業者(以下、指定資金移動業者とする)の口座への賃金のデジタル払いも解禁されました。
デジタル払いが可能な指定資金移動業者について、厚生労働省は今年の8月9日に、第一号として、決裁大手の「PayPay」を指定しました。また、現在申請中又は申請準備をおこなっている資金移動業者もあるため、今後指定資金移動業者は増加していくことが見込まれます。
導入にあたっての注意点
賃金のデジタル払いは、賃金の支払い・受取方法の選択肢の1つです。ですから、デジタル払いを導入したからといってその事業所では全員がデジタル払いになるというわけではありません。労働者がデジタル払いを希望しない場合は、これまでどおり銀行口座などで賃金を受け取ることができ、会社は労働者に賃金のデジタル払いを強制してはいけません。
また、賃金の一部をデジタル払いで受け取り、残りを銀行口座などで受け取ることや、一旦賃金のデジタル払いを選択した場合であっても、その後、賃金の受け取り方法を銀行口座などに変更することも可能です。