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算定基礎届の提出時期になります(2)Q&A

 前回の記事で算定基礎届の対象者や報酬になるものについてのポイントについてお話ししました。今回はよくある質問をQ&A方式にて下記お答え致します。

Q.7月1日に退職した人は対象にならない?

A:算定基礎届は原則として7月1日現在の被保険者全員について提出します。
7月1日に退職した人は7月2日に資格を喪失するので7月1日時点ではまだ被保険者で、算定基礎届の対象となります。

Q.産休・育休や長期療養で無給の人は?

A:出産・育児や病気で休職していて、4~6月に報酬が全く支給されない人も届け出は必要です。
報酬の平均はゼロとして提出しますが、標準報酬月額はゼロではなく、休職開始前と同じ額で決定されます。
 ただし、産前産後休業期間中や育児休業期間中は保険料の免除制度がありますので、従前と同じ額で決定されても保険料が徴収されるわけではありません。

Q.パートタイマーは月17日未満の人が多いのですが・・・

A:時給や日給のパートタイマーの場合は、実際に出勤した日を支払基礎日数とし、次のいずれかの方法で計算します。
①4~6月のうち、支払基礎日数17日以上の月がある場合は、17日以上の月だけで報酬を平均する。
②3か月とも17日未満の場合は、そのうち支払基礎日数が15日以上ある月だけで報酬を平均する。
③3か月とも15日未満の場合は、従前の標準報酬月額と同じ額で決定される。
※パートタイマーへの社会保険適用拡大がおこなわれています。これにより特定適用事業所などに勤務する一定のパートタイマーについては「17日以上」でなく「11日以上」あるかどうかで判断することになります。

Q.6か月定期券を現物で支給した場合は?

A:定期券の額を6で割って1か月あたりの額を各月の報酬に含めます。賃金台帳に記載のない定期代などは集計からもれやすいので注意してください。

Q.転勤で4月から定期代が上がった場合は?

A:通勤手当は固定賃金です。4月に固定的賃金が変動し、改定の要件を満たした場合は7月に月額変更届を提出しなければなりません。この場合、「算定基礎届の対象にならない人」に該当します。

Q.毎年4~6月に残業が多いと損をするのでは?

A:確かに、4~6月に残業が多いと標準報酬月額が高くなり、保険料の負担も大きくなります。7月以降はほとんど残業がなかったとしても、基本給などの固定的賃金が変動しなければ月額変更届による改定もおこなうことができませんので、1年間、保険料の負担は大きいままです。そこで、このようなケースについては、過去1年間、保険料の負担は大きいままです。
 そこで、このようなケースについては、過去1年間(前年7月~当年6月)の平均によって標準報酬月額が決定されるという特別な取り扱い(「年間平均による保険者算定」)があります。ただし、次の3つの要件を満たした上で申し立ての手続きが必要です。
①4~6月で算定した額と過去1年間で算定した額に2等級以上の差があること
②その差が業務の性質上例年発生すると見込まれること
③被保険者本人が同意していること

Q.5月に昇給したが、月額変更届に該当するかどうかまだわからない・・・

A:5月に昇給し、5~7月の3か月で2等級以上報酬が変動する場合は、8月に月額変更届を提出することになるので、8月の月額変更届予定者を除いて算定基礎届を提出します。
 しかし、算定基礎届を作成している時点では、まだ5~7月の報酬が確定していないため、月額変更届に該当しない可能性もあります。結果的に月額変更届に該当しなかったときは、その時点でその人の分だけ算定基礎届を追加で提出することになります。
 ただし、都道府県によっては8月、9月に月額変更届を提出する予定の人についても、先に算定基礎届を提出しておき、月額変更届に該当した場合に取り消し処理をおこなう方法を取っているところがあります。

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