均等法の「間接差別」を裁判で認定 ~総合職のみに家賃補助~
東京地裁は、会社が、ほぼ男性で構成される総合職のみに家賃補助を支給し厚遇するのは男女差別だとして女性社員が会社に損害賠償などを求めていた訴訟の判決で、男女雇用機会均等法が禁じる「間接差別」に該当すると認定し、慰謝料など約378万円の賠償を命じました。(2024年5月13日)
この会社では、設立から20年の間に在籍した総合職34人のうち女性は1人のみ、一般職7人のうち女性は6人でした。「間接差別」が裁判で認定されるのは初めてのことだといいます。
間接差別とは
間接差別とは、一見性別とは関係ない要件や措置であっても、実質的には性別を理由とする差別になることを指します。2007年施行の改正男女雇用機会均等法で導入されました。
具体的には、下記3つの措置について、業務遂行上の必要などの合理的な理由が無い場合には、間接差別として禁止されました。
①募集・採用時に、身長・体重・体力を要件とすること
②総合職の募集・採用時に、転居をともなう転勤に応じることができることを要件とすること
③昇進に際して、転勤の経験を要件とすること
さらに2014年の法改正では、上記②の要件が総合職に限らず「すべての労働者の募集・採用・昇進・職種変更をする際に」に拡大されるなど、間接差別の禁止はさらに強化されています。
たとえば、事務職の募集で必要以上に体力を要求したり、支店のない企業で全国転勤を条件にしたりすると、結果的に女性に不利になるため、間接差別にあたる可能性があります。