カスハラから社員を守る【どのような行為が犯罪にあたるのかを理解しておく】
顧客からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題になっています。従業員を守るという観点からも、企業がカスハラ対策に取り組むことは重要です。
顧客に対して過度に責任を感じたり配慮しすぎると、落ち着いて対応できなくなってしまいます。
カスハラの中には刑法に触れるような悪質なものもあります。どのような行為が犯罪にあたるのかを知っておくことで、毅然とした態度で落ち着いて対応できることもあるのです。以下、代表的な違法行為を紹介します。
傷害罪(刑法204条)
人の身体に障害を負わせたとき。15年以下の懲役または50万円以上の罰金
(例)
・暴力をふるってケガをさせた
・言葉による攻撃を繰り返し、相手をうつ病に追い込んだ
暴行罪(刑法208条)
暴行を加えたが傷害に至らなかったとき。2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、抑留、科料
(例)
・腕や胸ぐらを掴む
・ツバを吐きかける
威力業務妨害罪(刑法234条)
威力を用いて業務を妨害したとき。3年以下の懲役または50万円以下の罰金
(例)
・怒鳴り散らし周りを騒然とさせる
・店舗に執拗な迷惑電話をかける
・机を叩いたり蹴ったりする
脅迫罪(刑法222条)
相手を脅して恐怖を与えたとき。2年以下の懲役または30万円以下の罰金
(例)
・「暴力団の知り合いに話をつけおいたから」と告げる
恐喝罪(刑法249条)
脅迫などで相手を怖がらせ金品を脅し取ったとき。10年以下の懲役
(例)
・ネットに悪評を流すと脅し、過剰な見返りや金品を要求する
強要罪(刑法223条)
脅迫や暴力を用いて相手に義務のないことをさせたとき。3年以下の懲役
(例)
・謝罪の意を示すだけで満足せず、土下座させたり謝罪文の提出を求めたりする
不退去罪(刑法130条)
正当な理由なく、他人の敷地内に居座る。3年以下の懲役または10万円以下の罰金
(例)
・「帰ってください」と何度言っても居座る